強敵黒カブについて

今回のカブトの感想を方々で見てて、「擬態天道は所詮一方的な感情をひよりに向けていたに過ぎないのであの結末は当然」「口先だけ守ると言って、実際は自分が依存してひよりを縛り付けていたので可哀相とは思わない」「ひよりの言葉を曲解して天道を殺そうとした時点で性根は邪悪。同情の余地なし」「擬態した偽物の心で愛されてもひよりは全然嬉しくない」「所詮は姿も心も天道からコピーした人形で、空っぽな存在なのだからひよりが逃げるのも当然」といった主張を見かけた。確かにその通りで、擬態天道は所詮天道の身体と心と変身を真似てその真似た感情からひよりに歪んだ執着を持っていただけで、それでひよりが嬉しかったかと聞かれればNoとしか言えない。でも、それでもひよりのしたことは鬼畜のそれだと思うんだよなぁ……
いくら相手が何も『自分自身』というものを持っていない空っぽな怪物だったからといって、あそこまで存在を無視して元の世界に戻るなんてことやっちゃってもいいの? 人としてどうよ、その失礼な態度は。正直、寂しい時には利用しておいてあっさり捨てたようにしか見えない。擬態天道にしてみれば、長い間ZECTによって幽閉されて拷問みたいな扱いを受けた末にようやく愛する妹に会えて、守り抜こうと思った*1のに結局利用するだけ利用されて捨てられたんじゃ浮かばれないよ。そりゃもう自殺するか世界を滅ぼすかしかないよ。
なんか、話が「ワームだというだけで悪いわけじゃない。結局はその存在が何をしてどう生きるかだ」っていう方向に進んでるのに擬態天道だけは無理矢理同情の余地がない完全な悪役として描こうとしてて、その歪みがとても気になる。昨日も書いたけど擬態天道ってそんなに同情の余地がないほどの悪いことは何もしてないし。そりゃ実際殺されかかった天道にしてみれば洒落にならないだろうけどさー。やっぱり米村氏の話は見ててあれー?あれれー?って思うところが多すぎてとてものめりこめまへん。その辺は井上氏の方がわたしには合ってる。

*1:いくらその感情がコピーしたものであろうと結果的にひよりに依存して縛り付けたことになろうと、その誠意だけは本物。