ウルトラマンパワード

メビウスがなかったから……というわけじゃないけど、ビデオが安かったので買って見てみた。とりあえず一通り通して見た感想を。


・よかったところ

  • 怪獣のアレンジデザインと造型。アレンジの方向性については賛否両論あるだろうけど、とりあえずデザインと造型だけはさすがハリウッドだけあって素晴らしいものがあったと思う。特に、中国の暗器使いをモチーフにしたと思われるドラコのデザインはちょっと斬新な上に格好いい。
  • 劇伴。これはガイアやメビウスも担当している佐橋俊彦氏なので、言わずもがな。
  • ストーリー。伊藤和典氏がメインライターなだけあって、意外と無難に纏まってた感じ。
  • サンダース隊員のキャラ。常にアメリカンジョークを連発し、軽口を叩くけど射撃の腕は確かっていうキャラはアメリカのアクション映画じゃベタだけどよかった。お気に入りの台詞は第1話でパワードを見た時の「俺達友達に見えるかな? それとも虫けらでしょうかね?」や、第4話にてパワードが出現した時の「これから本気出そうと思ってたのに」や、第10話で海底に沈んだ隊長のストライクビートルを救出した時の「(隊長に乗せてくれと言われて)給料上げてくれます?」


・悪かったところ

  • ウルトラマンと怪獣のアクション。基本的に怪獣は二足歩行だと直立不動で腕や頭を振り回すだけ、四足歩行だと頭を振り回すだけ。ウルトラマンものそ〜っと近付いてぽむっと怪獣を押すだけ。迫力ないことでは多分ウルトラシリーズ一だと思う。第1話は演出で割と上手く補ってたけど、後はもうボロボロ。特撮作品でこれはちょっと致命的……


面白かったと思う話は、まず第10話「二人の英雄」。成績優秀だったにも関わらず目が原因で最終試験で落とされ、W.I.N.R.に対して*1屈折した感情を持つアルトゥーロがいい。民間人なのにビートルに乗ってパワードを助けちゃうし。最後にカイがテレビレポーターに話を聞かれた時に、アルトゥーロにヘルメットを渡しながら言った「詳しい話? 彼はアルトゥーロ・メンデス、ウルトラマンと精製所を救ったパイロットだ」が印象に残る。
もう一つは、第11話「よみがえる巨獣」。話は初代のゴモラ編とほぼ同じなんだけど、ゴモラが徹底的に弱々しく、状況に翻弄される犠牲者として描かれてるのが印象的。眠っていたところを叩き起こされ、何もかもが見慣れない場所を彷徨して最期はパワードともまともに戦えず、力尽きて死んでいく姿がとても痛々しい。ゴモラには……我々が怪獣に思えたかもしれませんね」というカイの前で、雄々しく立つゴモラの剥製が皮肉が効いていて。
……って、よく考えたら2つとも怪獣が動かなくてもあまり気にならない話なのねペスターは初代でも動けないから自分の起こした火事で瀕死になってウルトラマンとはまともに戦わなかった奴だし、ゴモラは動けないことがドラマで意味を持っていたし。

*1:というよりは同期であるカイに対してっぽかったけど。