獣拳戦隊ゲキレンジャー #9「ケナケナの女」

『ケナケナの女』って『健気な女』って意味だったのね。
前回の予告で抱いた期待を裏切らない、今までで一番面白い話だった。たとえ拳士としての誇りを曲げてでも、理央とは違う冷たい死人のままでも*1理央に尽くそうとするメレの健気さが泣ける。……スクラッチ側の描写がほぼなかった今回が一番面白いっていうのは、戦隊ものとして大問題な気もするけど……
で、その問題点を具体的に挙げてみると、ゲキレンジャーの3人ってメレに比べて必死さや真剣さが足りないのね。『暗く冷たい死の世界から理央によって救い出され、その恩義に報いるために謀反を起こしたブラコに挑む』『一旦は敗れるもあえてゲキレンジャーの激激砲を何度も受けて、ボロボロになりながらも反撃の糸口を見つけ、再戦で見事勝利』『真の命を与えるという誘惑すらあっさり切り、たとえ冷たい死人のままでも理央と共にいることこそ全てと誇らしげに言い放つ』 こんな濃い描写に比べたら、『ニキニキで楽しいから激獣拳をやって、ゾワゾワが気に入らないから戦っている』というジャンの動機がなんと軽く見えることか*2。ジャンレツランのキャラ自体は好きだしシャーフーの「暮らしの中に修行あり」という方針もいいとは思うけど、もう少しボロボロになって必死の修行をしているところを見せないと、本当に臨獣殿に比べて薄っぺらい存在になってしまいそう。いくら臨獣殿の幹部がOPで戦隊メンバーと同格扱いで出てるっていってもねぇ。
と真剣な話はともかく、出た次の話で破られるゲキバズーカや再生怪人倒しただけなゲキレンジャーの出番には笑ってしまったわけだけど(何) 幹部とはいえメレと五毒拳の間にそんなに圧倒的な実力差はなさそうだし、一撃であっさり死んだマガがなんか不憫でならない。
理央様は今回もメラ格好よかった。目を覚まして立ち上がり、臨気鎧装から蹴りの一撃でカデムを文字通り消し飛ばす勇姿にはもう、痺れるとしか。メレを完全にただの道具とは思ってないみたいだし、これから先もどうなるかが非常に楽しみ。
いい話にはいい悪役が欠かせない……ということでブラコの悪役ぶりもよかった。まさか単独では1回もゲキレンジャーと絡まずに死ぬとは思わなかったけど、めちゃくちゃ強いところを見せてくれたし。理央を黒獅子の坊や呼ばわりするのがいかにもな感じでいいね。
五毒拳編も終わって、次回からはまた新展開。獣人ムザンコセって、センザンコウ→ンザンコウセ→ムザンコセで一応ネーミングの法則は崩れてないのか、かなり苦しいけど。センザンコウの怪人って特撮初じゃないかなー(笑)

*1:メレの人間態は臨獣カメレオン拳の臨技で化けたものらしいけど、これって死人であるリンリンシーの姿を忌み嫌って生前の姿をとっているってことだよなぁ……そう考えるとまた泣ける。

*2:ジャンが根っこにしっかりした正義感を持った好漢というのはよくわかっているけど。