悪魔の手毬唄

なるほど、はてなキーワード「5本ある金田一シリーズの映画から一本選ぶと大抵この作品が挙がる」と書かれている理由がわかった。確かに去年の犬神家リメイク含め今まで見た市川金田一の中で一番面白かった。
今更わたしなんかが言うまでもないだろうけど、やはりラストシーンが素晴らしい。「リカさんを愛してらしたんですね?」と聞く金田一に聞こえないふりで返した磯川刑事だけど、駅名がその本心を物語っているように見える。この物悲しさ。
物悲しいといえば、狂気に走る母を諌め、旧友を守るために自分が身代わりになって母に殺される里子や恋人と妹を殺した犯人が母だと知った歌名雄の叫びもなんともやり切れない。
リカが正しく狂気と呼ぶに相応しい凶行に走った理由が少し薄かったり、見立て殺人にする必然性がなかったりする点でミステリとして見ればいまいちだけど、1人の身勝手な男から始まった悲劇という点で見れば素晴らしい作品だった。原作もいいけど市川演出もまたそれに合ってていいんだよなぁ、粘着質というか、過度に情緒的な撮り方というか。