ウルトラセブンX #6「TRAVELLER」

この空想科学御伽噺とでも言うべきストーリーは太田愛氏だ!と思ってたら、なんとびっくり脚本は小林雄次氏だった。こういう叙情的なお話も書けるんだなー、ちょっと意外。ずっと抱いてた宇宙への憧れという浪漫と唐橋充氏演じるタカオのキャラが相まって、切ないけど希望のある良エピソードだったと思う。
明確に意識したのかはわからないけど、2話との対比が興味深い話だった。タカオもRも『この世界にいる自分』に疑問を持ってしまい適応できない人間で、未知なる存在の力を借りて『本当の自分』を目指そうとしたところまでは同じだったけど、相手の悪意のあるなしで結果がまるで違ってしまったと*1。多分Rが光の魂に出会ったなら迷わず旅立ったし、タカオがメッセージを受け取ったなら船に乗ってただろう。今回を見た後で第2話を見返してみたら、色々見方が変わって面白かった。
タカオの働く会社が実に嫌な感じで、現実から逃げ出したいと思うタカオの気持ちが痛いほど理解できた。ただ、もし自分があの状況に置かれたらなんだかんだで色々諦めて受け入れて、タカオの同僚みたいになっちゃうんだろうなぁ……
エレアが持っていた『AQUA PROJECT』という札、そしてアリサの言っていた『星の好きな彼女』……タカオとの回想も合わせて、ジンの過去が徐々に明らかになってきた。宇宙が好きで、記憶を失う前からDEUSのエージェントをしてたのはどうやら本当みたい。ただ、タカオとアリサの知っているジン=ウルトラセブンXに変身するジンとはまだ言い切れないところだけど。世界観が世界観だから妙に疑ってかかっちゃう。
夢は叶わず、現実に疲れ、それでも夢を捨てられずに思いを馳せる……そんな宙ぶらりんな日々を送っていたタカオに、思いがけず訪れた夢を叶えるチャンス。これって現実世界でも起こり得ることだよなー、宇宙云々は置いといても。やり甲斐はないけど安定した『今』を捨てて、どうなるかわからないけどやりたかった『未来』を取る……現実にどうかはまた置いといて、人として憧れる生き方ではある。
「俺がずーっと抱いていた夢が、思ってもみない形で実現するんだ。そう、少年だったあの日の夢が。
 ここから先の宇宙にどんな惑星があって、どんな危険が待ち受けているか、それは解らない。だけど、
 『この命が続く限り、宇宙の深遠を目指す勇気と探究心』
 それこそが、知的生命として最も根源的な欲求じゃないのか?」

この台詞には、唐橋氏の熱演もあってじんときた。
宇宙船に乗る時に眼鏡を捨てるタカオと、ウルトラアイをつけてセブンXになって見送るジンの対比もどこか印象的だった。タカオもまた、眼鏡をとることで『未知なる夢を追いかける自分』に変身したんだなぁ。
次回は北岡弁護士*2こと小田井涼平氏と、ミサキ総監代行こと石川紗彩氏がゲスト。は置いといて、ヴァイロ星人は笑うところなのかなぁ……もうただの怪しいコスプレレベルだし(笑) 初の昼間の戦闘が楽しみ、またあっさりだろうけど。

*1:他人の体を次々器にしていく光の魂がいい奴なのかは置いといて。タカオ的には幸せだったし。

*2:ウルトラ的には宇宙工作員ケルスって言った方がいいか。