劇場版天元突破グレンラガン 紅蓮篇

観てきたー! 日曜とはいえ公開から日も経ってるし、所詮総集編のアニメ映画だからほぼ貸切で見られるだろーとたか括ってたら9割席埋まってびびった。念のため早めに行ったからいい席は確保できたし、他の方もマナーよくて無音のシーンでも物音一つしないくらい食い入って観てたからよかったけど。いやー、グレンラガン恐るべしだなぁ。
で、最初に大まかな感想を言っておくと、ごめんなさい正直甘く見てました。いや、正直第1部は退屈だったんだ*1、言っちゃえば。新規カットもほとんどないし展開が駆け足だしで。ただ、展開に大きなアレンジが加えられて新規カットも多い第2部がすごかった、まさに超絶。テレビ版とどっちがいい?と聞かれたらどっちもいいところがあればちょっとなーと思うところもあるので結論は出せないけど、グレンラガンファンならいいから観に行け! 損はしない!




いきなりアンチスパイラル・上川隆也氏の

人は問う
己とは何か 命とは何か 宇宙とは何か
その答えを知らぬまま人は死ぬ
それこそが人の宿命

と、ロージェノム・池田成志氏の

かつて見た景色 ささやかな平穏 ささやかな希望
それを踏みにじられた時、男は立ち上がる!
その手にある希望、進化の縁、巨大な力を掲げ、男は戦い――

というナレーションで始まる、ロージェノムの過去。BGMは名曲『"Libera Me" From Hell』。
とりあえず子供の頃のロージェノムがニアにそっくりでびっくりだよ! 父親似だったんかいニアって! 何気に近くにアルマジロ(グアーム)がいて、ゴリラ(チミルフ)やサソリ(アディーネ)や鳥(シトマンドラ)を初めとした人形で遊んでる。
ラゼンガンもやっぱりラガンが何かのガンメンと合体した機体だったのね。ラゼン+ラガンでラゼンガン?
立ち並ぶグレンラガンタイプの中にマジンガーやゲッタードラゴンやジーグや武者頑駄無摩亜屈がいて吹いた。

――そして絶望を知る

テレビ版じゃ螺旋族の敗因は「別次元にあるアンチスパイラルの本拠地を突き止められなかったこと」ってロージェノムが言ってたけど、劇場版じゃ「力押しでは勝てないと知ったアンチスパイラルがロージェノムに接触、スパイラルネメシスのことを教え、それによって人類の行く末に絶望したロージェノムが螺旋軍を裏切り、殲滅した」って感じになってた。まあ多元宇宙ってことかな!*2 ここでアンチスパイラルの言葉を受け入れてしまったからこそ、シモンが同じ言葉をかけられた時に叱咤できたんだろうなぁ。

人は問う
なぜ戦う なぜ殺す なぜ滅ぶ
その答えを知らぬまま人は死ぬ
それこそが人の幸せ

ロージェノムの絶望に合わせて胴体の凶悪な口が露わになり、ドリルを縦横無尽に操って味方ガンメンを斬り裂き、貫き、バラバラにするラゼンガンに鳥肌。さすが吉成曜氏……
まさかのラゼンガン+デカブツ*3のアークラゼンガン、ラゼンガン+テッペリン+カテドラル・テラのカテドラルラゼンガンまで登場。カテドラル・テラの変形が半分シルエットとはいえぐにょんぐにょん凄くてびびった、貧相な表現で申し訳ない。

人間よ、愚かな種よ
恐怖せよ、この絶対の力の前に
圧倒的恐怖と、絶望の前にひれ伏せ
螺旋王の名の前に
地の底に眠れ、愚かなる種族よ
それこそがこの星の宿命

昔遊んだ公園の遊具にそっくりな玉座に座り、昔のように自分で作った獣達を侍らしているロージェノムがなんとも皮肉。ロージェノムなりにせめて人間を絶やさないための、ベターな選択だったのが哀しい。


以下第1部は、第1話、グレン強奪、グレンラガン合体、ダイガンザン来襲、アニキ死す、という重要なところ以外は基本的にすっ飛ばす総集編展開。4話の作画がそのままでちょっと泣いた。いや、あれが作画悪いとかじゃないのは十分にわかってるんだけどね、それでもあの絵は好きじゃないっていうか……
総集編展開だけど、第1部OPであったグレンハウスを背負って歩くグレンにラガンの上から手を振るリーロンとか、みんなが疲れて眠る中コアドリルを誇らしげに見つめるシモンとか、テレビ版では描かれなかったところを補完してたのはよかった。寝ずに勉強を続けるヨーコはヨマコ先生の伏線だよね。
ダイガンザンに引き裂かれそうなグレンラガンの股関節が、もろリボルバージョイントで吹いた。あの模様まで描かれてたから間違いない。なんというリボルテックグレンラガン持ってる人へのサービス(笑)


そして第2部、この映画の肝。ここだけでも観に行く価値はあると言ってもいいくらい。
まず、キーキャラであるニアの演技が結構変わってた。テレビ版だとシモンを諭すところも、天然なんだけど真実を言ってるしそれがシモンの救いになっていくって感じだったけど、こちらではシモンを諭す所はあくまで真剣な声で、ちゃんとシモンを信じていてだからこそ立ち直って欲しいっていう気持ちがよく出てたと思う。劇場版で魅力3割増ですよニアは、元からいい子だったけど。
クライマックスは、アディーネによってニアが捨てられたことを知る+グアームの公開処刑+シトマンドラの猛攻と、まさに大グレン団大ピンチ。ヴィラルのダイガンザンドゥには吹いた、見た目がギャグにしかなってない!(笑) 巨大なエンキラッガーだけじゃなく、何気に腕が4本あってドゥドゥの意匠も取り入れられてるし。あとダイガンテンがダイグレン殴ってて吹いた、お前手あるんかい(笑)
応戦シーンで地味にモーショーグンが日本刀使ってたり、キヤルンガがハンドガン使ってたり。
ニアを救うため、シュザックをよじ登るシモン。アニキの「あの背中に笑われねぇ男になる! そう思ってる」の回想とシモンの「お前を信じる、お前を信じろ!」はここに。んー、ここはテレビ版の『穴を掘る』で繋げた流れが見事だったからちょい見劣りするかなぁ。愛用のハンドドリルとコアドリルを突き立てて、必死によじ登るシモンは格好よかったけど。
並行して、グレン対エンキドゥ、キングキタン対ゲンバー、そしてヨーコ対アディーネの白兵戦も。ヨーコのライフルって組み替えでサブマシンガンにもなったのね。ライフルの狙撃もサブマシンガンの連射も、全てこともなげに尻尾で弾くアディーネが強敵感出ててよし。
そして待ってました、待ってましたのラガン起動、シモン復活! エンキドゥを退けたグレンと合体、更に即カトラ・リーダーを取り込んでグレンウイングゲット、そしてシトマンドラが用意したスポットライトの中心で、男一代の大名乗り!! これには絵的な意味でテレビ版より痺れた!
襲い掛かるシュザックも、ギガドリルブレイク*4で一蹴! 必殺技名叫ぶ度に妨害されて不発になるし、シトマンドラはテレビ版でも劇場版でも扱い悪かった(笑)
シモンの復活に合わせて、大グレン団も逆転! 黒の兄弟はキングキタンDXに合体して、ゲンバーを退ける大金星! まさかキタンにこんな美味しい見せ場があるとは思わなかった。
ヨーコ対アディーネ、愛したカミナが手に入れた艦を守ろうとする女と愛したチミルフのものだった艦を取り戻そうとする女の戦いも、機転を利かせたヨーコの勝利! アディーネの尻尾をすれすれでかわす→簪で尻尾を串刺しにして動きを止める→髪の中に隠していた拳銃でとどめ!の流れが作画もすごい。とどめさせずに逃げられたけどさ!
形勢不利と見たグアームとアディーネとヴィラルは、奥の手を発動させる! その奥の手は、四天王合体戦艦ドデンカイザン!
 ……ってえぇぇぇぇ(笑) 見た目も名前もカオスすぎる。
地味にヨーコ専用ガンメン登場、ダヤッカイザーのリデコだったけど。
強大な敵を倒すため、大グレン団必殺のギガドリルブレイク・大グレン団スペシャ発動!! 全員が名乗りを上げて、その螺旋力を受けたグレンラガンがドデンカイザンを合体してる一隻ずつ“掘り進む”ところがもう、最高だった。まさに「穴を掘るなら天を衝く! 墓穴掘っても掘り抜けて、突き抜けたなら、俺の勝ち!!」な穴掘りシモン!
大グレン団の結束の力の前に、四天王は全滅。そして一人生き残ったヴィラルは復讐を誓う。なんかヴィラルもアディーネにちょっぴり気があったみたいな描写だった。
大グレン団の勝利を喜ぶ民衆の中に、まだ子供のギンブレーがいて吹いた。そういやこいつ実は大グレン団のファンって裏設定あったなぁ(笑)
シモンの「ニアは、ニアらしく生きればいいと思うよ」と、大グレン団リーダー就任はアニキの墓前に変更。ニアに渡した石も、アニキの励ましで掘り進んだ時拾ったものってことになってた。
スタッフロールは前半EDのような、白黒のシモンとブータがひたすら歩くもの。曲が盛り上がると同時に、シモンとブータも走り出すのがいいなぁ。
四天王戦死の報せを聞いても、些かも揺るがない螺旋王。その下にはデカブツのコックピットに座るラゼンガン、そしてテッペリンに浮かぶデカブツのシルエット……というところで、螺巌篇に続く。


いやあー、過去最長じゃないかってくらい感想書いてしまった。しかしそれくらい面白かった! ここまでやってくれたなら、螺巌篇にも期待せざるを得ないでしょ! 願わくば、ニア生存の完全ハッピーエンドを……無理かなぁ……なんとかなりせんかね、今石監督と中島氏。

*1:それでもアニキの最期には、何十回見てるにも拘らずジンときたけど。

*2:しかし便利な言葉だ、多元宇宙。

*3:こいつの正式名称なんて言うんだろ。

*4:レンブーメランでの拘束が、無数に分裂したブーメランで串刺しにしつつというのが燃えた!