牙狼−GARO− #21「魔弾」

やはり森本レオ氏はすごかった。「君たちはぁ、人間のぉ、屑、ですねぇ」といつものあの調子で言いつつチンピラを顔色一つ変えずに撃ち殺すところなんか、ゾクゾクもの。鋼牙との一騎討ちもよかったし、今回は森本レオ氏の存在感と演技勝ちだなあ、静かな狂気と紙一重の激情を湛えた悪役を必要以上に熱演してた。
ホラー・ボナファルツは神須川ではなく、冒頭神須川に射殺された警備員に憑依して神須川に操られてたホラー。陽動と前座扱いにはもったいないデザインのかっこよさだった。頭も銃になってるのはちょっと笑ったけど(笑)
しかし怨みという陰我とキバや子番犬の差し金があったとはいえ、ホラーを操って鋼牙と対等に渡り合う神須川はすごすぎる。元からそっち系のマニアの気があったと見た。
今回は生身アクションが超絶。銃弾をかわし、魔戒剣で弾き、コートで防いで縦横無尽の立ち回り。かなり長回しのカットもあったりして、息を呑んだ。やっぱ横山演出は素晴らしい。特にツボだったのが、壁を蹴って反動で素早く部屋に飛び込む動き。さり気ない動きだけど、すごい理に適ってて「おお!」って思った。
ザルバの銃弾防ぎは吹いた、その後の「顎が外れるかと思ったぜ」も(笑) ほんとこいつらいいコンビだなあ。
須川の目的は、娘を殺した鋼牙に復讐すること……って第8話かよ、えらい前の話を伏線に持ってきたなあ。「お前の娘はホラーに憑依される前から連続殺人を犯してる極悪人だった」とか「お前だって自分のために他人を犠牲にしてるじゃないか」とかいう指摘は、この場合完全な見当外れ。結局神須川自身も娘の気持ちや苦しみを理解せずに踊らされていた、“身勝手な人間”として描かれてるから。しかし決して言い訳しない鋼牙はかっこいいなぁ……
おお、ホラーを封印した短剣を人間に刺すとその人間がホラーになるのか。そして鋼牙はホラーに憑依された人間の苦しみも断っている、と……重いなあ。最後のザルバの言葉があまりに哀しくやり切れない。
そして冴島邸に急ぐ零、カオルに浮かび上がった謎の刻印……といったところで引き。いやー、最終章に入る前の中休み的な話だと思ってたら、重いテーマと森本レオ氏の深い演技が
相まって素晴らしい話だった。牙狼の中でも上位に入る話だなぁ。
次回はとうとう暗黒騎士がその素顔を曝け出す? どうやら幼い頃のカオルとも因縁がありそうだけど……ま・さ・か、カオルの父親が絵本に描いた黄金騎士はキバだった、とか……? そう言えば、絵本のタイトルも『黒い炎と黄金の風』だし……