『相棒〜警視庁ふたりだけの特命係』season7 #7「最後の砦」

さあきたぞー、相棒定番の今期はこんなもんかーと油断してたらこちらの脳天をガツンと殴り飛ばしてくる容赦ない話が。
ある意味お馴染みな警察の闇を告発する誰も救われない話に留まらず、それが右京さんと亀山の今まで培った『相棒』関係にまで罅を入れてしまうのがたまらん。これでこそ相棒だ。ゲストの多分次回死ぬ嶋さん金山一彦氏とキノコ鈴木浩介氏の真に迫った演技も素晴らしかった。
隠蔽を許さずきちんと監査しようとする大河内監査官*1と、完全に独断で所轄署に向かって証拠隠滅しようとする野村を取り押さえて「お前みたいな刑事がいると迷惑なんだよ!」と激昂する伊丹もよかった。
上からの圧力と入院中の母親からの電話*2にせっかく奮い立たせようとした勇気も挫かれてしまい、最後は取調監督官に任命されてしまう野村もまた悲劇。下柳に命を捨てて庇われた負い目でまともに監督なんてできるわけない*3けど、中途半端な正義感と良心がそんな自らの行いを苛み続けるわけだ。トカゲの尻尾切りされたり、それこそ死んだ方が楽にも思える生き地獄。自分勝手な捜査で結果的に人を二人も死なせてしまったとはいえ、あまりにも残酷すぎる報い。
いつも通り、どんな悲劇も掌の上で動かして自分の利とする小野田の「いつもそうでしょ、警察は」という言葉に、プルプル顔を震わせる右京さん……久しぶりに、心底本気で怒ってる態度だったなぁ。
ラスト、もし右京さんが不正な捜査をしても「そうしなきゃいけない理由があったんだと信じます。右京さんは俺の、相棒ですから」と言ってしまった亀山。それを「諸刃の剣なのかもしれませんねぇ、警察官の仲間意識というものは」と突き放す右京さん。正しく強い右京さんと、情を優先してしまう亀山との間の溝が改めて浮き彫りにされたところで、BGMが『相棒』のメインテーマ*4……この痛烈な皮肉。今期の亀山卒業における、重要なキーポイントになる話なのは間違いないだろう。

*1:結局上からの圧力に屈しちゃったけど。

*2:個人的には、屈してしまったのは圧力よりもこっちの方が大きな要因だったと思う。

*3:上層部の狙いはこれだろう。

*4:この選曲には否定的な意見を述べてる人も多いけど、書いたように二人の相棒という関係への痛烈な皮肉として素晴らしかったと思う。